『バンパイヤ』手塚治虫
出版社/著者からの内容紹介
木曽の夜泣き谷から上京し、虫プロへはいったトッペイ少年。彼は、オオカミに変身するバンパイヤだったのだ!悪党間久部緑郎は、トッペイの超能力を犯罪に利用しようとたくらんだが……!傑作SF巨編、第1弾!!
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バンパイヤ (1) (秋田文庫―The best story by Osamu Tezuka)
著者:手塚 治虫 |
小学校の図書室で『火の鳥』や『ブッダ』を読み漁った俺も、この本は初見でした。
基本に据えられたテーマは“悪とは何か”“人間と獣を分かつものは?”
人間は理性や道徳で衝動や欲望を抑え暮らしている。それを我々は必要なものと考えているが、果たして獣のようにのびのび暮らすのとどちらが幸せなのだろうか。満月の夜に強いストレスを感じると狼男に変身してしまう少年トッペイの冒険を通じ、手塚治虫は模索していきます。
また忘れてならないのはトッペイと対を成す間久部緑郎という人物。彼は作中で怪しげな占い師三姉妹に予言を託され、それが破られる過程からシェイクスピアの『マクベス』をモデルにしたものだと見て取れます。
間久部緑郎、通称ロックは天才的な頭脳と残忍な心、見事な変装の技術で人々から金品を騙し取る犯罪者です。目的達成のためには殺しもいとわず、そのため『バンパイヤ』では序盤から登場人物が呆気ないほど次から次に死んでいきます。コミカルな絵柄で恐ろしい話を描くのは手塚治虫の特徴ですね。
そんなロックでも親友との絆だけは捨て難いものだった。悪党にも残る僅かな人の心が彼を苦しめます。己の欲望と友情の間を揺れ動いたロックは遂に一方へ振り切れます。そこからの彼は本当の悪党になりました。
この話は文庫で全3巻。2巻までが第一部、3巻になると今度は人間に変身するウェコという猫が出てきます。トッペイたち獣へ変身する人間「バンパイヤ」の逆ですね。このウェコを使って懲りないロックはまた一儲けしようと企むんですが……。
多くの手塚作品と同じように『バンパイヤ』も未完で終わってます。最後は凄く続きの気になる終わり方で、読み終わった後「そりゃないよ手塚先生」と言いたくなります。
因みに『バンパイヤ』は映画化もされていて、トッペイ少年を演じたのは当時14歳の水谷豊さん。まさか後に『傷だらけの天使』で「アニキィ~」とショーケンの後を付いて回るようになるとは。
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